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【歯科医院向け】1on1のやり方|スタッフが変わる個人面談7つのポイント

歯科医院向け1on1・個人面談のやり方

スタッフの表情が少し暗い。
返事もどこか元気がない。

「何かあったのかな」

そう思い、声を掛けてみる。

少し元気を取り戻したように見えて安心するものの、数日後にはまた同じような状態に戻っている。

最初は気に掛けていたものの、それが何度も続くと、

「またか……。」

そう感じてしまう院長先生も少なくありません。

もちろん、放っておきたいわけではありませんが、診療があり、経営のことも考えなければならない中、一人のスタッフだけに時間を掛け続けることは現実的ではありません。

だからといって、そのままにしてしまえば、患者様への対応や院内の雰囲気、他のスタッフにも少なからず影響が出てしまいます。

歯科医院は、女性スタッフが多い職場です。

院長先生からいただく相談の中でも、

「スタッフとの関わり方」
「スタッフ教育」
「スタッフの定着」

に関する内容は非常に多くあります。


スタッフとのコミュニケーションや伝え方一つで、仕事への意欲や職場での行動は変わります。

そして、院長先生次第でスタッフの成長度合いや生産性が大きく変わるのであれば、知識として知っておいた方がよいのではないでしょうか。

その方法の一つが、1on1です。

ただし、1on1は単純にスタッフと定期的に話せばよいわけではありません。

目的が曖昧なまま始めると、

「最近どう?」
「困っていることはない?」

と話して終わるだけの面談になります。

あるいは、いつの間にか院長先生からスタッフへの指導や説教の時間になってしまいます。

それでは継続してもスタッフは変わりません。


本記事では、これまで多くのスタッフや部下と関わり、数多くのクリニックを支援してきた経験の中で、実際に成果につながった歯科医院の1on1で大切な7つのポイントをまとめます。

具体的には、次の7つです。

  1. 1on1の目的を明確にする
  2. まずは傾聴する
  3. スタッフを理解・把握する
  4. 1on1で「気づき」を提供する
  5. 1回の1on1のゴールは一つにする
  6. 2週間に1回、30分を目安にする
  7. 相手の考えをすぐに否定しない

大切なのは、単に定期的に話すことではありません。

「何を話すか」以上に、「どのような目的を持ち、どのような順番でスタッフと関わるか」が重要です。

難しい理論ではなく、明日から実践できる内容です。

ぜひ、ご自身がスタッフと1on1をしている場面を想像しながら読み進めてみてください。


歯科医院の1on1は「何を話すか」より「どう関わるか」


1on1は、時間を掛ければ上手くいくものでも、話が上手い人ほど成果が出るものでもありません。

ポイントが分かっていないと、同じことの繰り返しとなってしまい、何も変わらず、院長先生だけ疲れて途中でドロップアウトしてしまいます。

大切なのは、

「何を話すか」よりも、「どの順番で、何を意識して関わるか」

です。

ここから、歯科医院の1on1で大切な7つのポイントを順番に解説します。


1.1on1の目的を明確にする


目的のない診療やカウンセリングはありません。

同様に、目的なく惰性で行う面談は双方にとって無駄な時間になります。

個人面談の目的は、

「対象のスタッフが成長している実感」

そして、

「周囲の人に貢献ができている実感」

を得られるための気づきの時間にします。


この記事で推奨する1on1では、目標成果に対する進捗を確認して、対策をすることを主目的にはしません。

確かに、進捗確認も大切なことですが、それは個人面談ではなくてもできますし、短期的視点の目標であることが多いです。

必要な場合は別の時間で1on1をするか、他の幹部スタッフに行ってもらうことをおすすめします。


私が推奨する1on1の目的は「気づきを提供すること」です。

だからこそ院長先生は、毎回の面談前に、

「今回、このスタッフに何を気づいてもらうのか」

を考えておく必要があります。


2.まずは傾聴する

「給料を支払っているので、そんなに時間はかけられない」

という言葉を院長先生から聞くことがあります。

質問をして返答に時間がかかると、つい、

「こうなの?」
「こうじゃないの?」

と、相手が話し終わる前に話し始めてしまう先生も少なくありません。

特に、これまで個人面談をしてこなかったり、スタッフとのコミュニケーションが少ないと自覚があったりする場合は、なおさらです。

スタッフは普段、先生の話を聞く立場です。

先生の指示を聞く立場です。


だからこそ面談では、先生が話すのではなく、

スタッフの話を聞く時間をつくります。

まずは、傾聴です。

ついついスタッフに対しては、

話し過ぎる。

あるいは、話さな過ぎる。

この両極端になってしまう先生方が多いのも、クリニック組織の特徴です。


理解力も違います。

年齢も違います。

価値観も違います。

だからこそ、相手の話を聞くことにエネルギーが必要です。


そして、くれぐれも「ながら」で話を聞くことだけはやめてください。

パソコンを見ながら。
スマートフォンを触りながら。
カルテを見ながら。

「片手間で聞かれた」

とスタッフが感じてしまえば逆効果です。

話を聞くと決めたら、聞く。

スタッフとの信頼関係は、ここから始まります。


3.スタッフを理解・把握する


患者様への自費カウンセリングでは、

「どのようになりたいのか」
「どのような悩みを抱えているのか」
「何に価値を感じているのか」

そして、その背景まで把握しようとされていますよね。


それなのに、毎日一緒に働くスタッフのことを理解しようとしないまま、

「自分の話を聞いてほしい」

と思うのは、少し都合のよい話です。


「仕事だから、言ったことをそのまま実行してほしい」

と思う気持ちも分かります。

ただ、そのような人だけを採用できるのであれば、多くの歯科医院が採用や教育で悩むことはありません。


スタッフは何を望んでいるのか。

何を楽しいと感じているのか。

仕事に対してどのような想いを持っているのか。

将来なりたい姿を描ける人もいれば、まだ描けていない人もいます。

どちらかというと、目の前のことを一生懸命頑張っている人の方が多いでしょう。


だからこそ、

先生がスタッフを理解しようとする姿勢

が大切です。


「先生が私のことを分かってくれた」

そう感じられるようになると、先生の話にも自然と耳を傾けてくれるようになります。

言葉だけではなく、先生の姿勢や本気度は見られています。

表面的なコミュニケーションは、意外と見抜かれてしまいますので気をつけてください。


4.1on1で「気づき」を提供する


このテーマが、1on1では一番大切です。

先述したように、1on1はスタッフが、

「成長している実感」

や、

「周囲に貢献できている実感」

を得るための気づきの時間です。

面談を重ねることで、そのスタッフのことが少しずつ分かってくるはずです。

知識や技術などのスキル面は、一緒に診療をしていれば見えていると思います。

大切なのは、その先です。


そのスタッフは、何に気づけば「なりたい姿」に近づけるのか。

どうすればもっと周囲に貢献できるのか。

どうすれば患者様からもっと感謝されるのか。

結果として、給料が上がる人材になっていけるのか。

面談前に考えておくことは2つです。

1つ目は「何に気づいてもらうか」

何に気づけば、そのスタッフの意識が向上するのか。

次の行動に移してみようと思えるのか。

気づかせることは、各面談で一つに絞ります。

テーマが大きい場合は、階段をつくり、小さな気づきにします。

年に12回から24回の面談を重ねていけば、かなり成長していると思いませんか。

もちろん、やる人とやらない人には分かれます。

それは仕方ありません。

テコを入れても動かない人は、どの業界にもいます。

2つ目は「どのような質問で気づいてもらうか」

気づきは、質問によって生まれます。

コーチングです。

質問をして、すぐに答えが返ってこなくても、こちらから答えを出してはいけません。

こちらが答えを言ってしまうと、相手に気づきは生まれませんし、腹落ちもしません。

自分で気づいたときに、スタッフの目の色が変わる瞬間があります。

そのときは、さらに深く聞いてください。

「なぜ、そう思ったの?」

「そう思ったきっかけは何?」

「では、次に何を変えてみる?」

この問いを重ねることで、気づきは行動に変わっていきます。


ただし、実際にはスタッフの状況や面談のテーマによって、効果的な質問や関わり方は変わります。

「実際にはどのような流れで1on1を進めればよいのか」

「面談前に何を準備しておけばよいのか」

という院長先生向けに、実践時に見返せる資料を本記事の最後でご案内します。


5.1回の1on1のゴールは一つにする

能力が高いスタッフであれば、2つでも構いません。

ただし原則として、1回の面談で目指すゴールは一つに絞ります。

そこに集中します。

よほど重要な相談ではない限り、話を横に広げてはいけません。

新たな課題が出てきたのであれば、次回のテーマにします。

30分という時間は、思っている以上に短いものです。

院長先生にとっても、30分あれば診療ができる貴重な時間です。

だからこそ、一つのテーマに集中することが大切です。


また、医院の理念や先生の想いを伝えたい場合は、なるべく話だけで終わらせないでください。

スライドや資料などを使いながら伝えます。

そして、何度も繰り返し伝えることです。

今回の面談で十分に腹落ちしていない場合は、無理やり前に進めなくても構いません。

次回も同じテーマでよいのです。

それでも難しい場合は、一つ前の段階の気づきに戻ってあげてください。


6.歯科医院の1on1は2週間に1回、30分を目安にする


おすすめは、

2週間に1回、1人30分程度です。

面談までに簡単な宿題を出してもよいでしょう。

例えば、

「○○先輩のようになるためには何が必要だと思う?」
「○○ができるようになるために、何をすればよいと思う?」

など、自分で考えてきてもらいます。

大切なのは、答えを評価することではありません。

考えてきたことを一緒に整理し、次の行動につなげることです。


ただし、何も考えずに来ることが続くようであれば、その点はしっかり指導しなければなりません。

やる気の問題なのか。

忙しかったのか。

それとも課題が難しかったのか。

宿題をすることの大切さを伝えながら、課題が難しい場合は易しくします。


7.1on1では相手の考えをすぐに否定しない


1on1では、気づきを与えることが目的です。

だからこそ、相手の考えをすぐに否定してはいけません。

もし、

「それは違うな」

と思う考えだったとしても、まずは、

「なぜ、そう思ったの?」

と背景や理由を聞いてあげてください。


相手の考えを知らずに否定してしまうと、本音を話してくれなくなります。

期待していた答えと違っていても、否定しないことです。

「なぜ、その答えになったのか」

そこを理解してあげることが、相手を理解することにもつながります。

厳しいことを伝える場面があったとしても、まずは理解しようとする姿勢を忘れないでください。


歯科医院の1on1の具体的な進め方


7つのポイントを理解したら、実際の進め方を決めます。

まず、半年先までの面談日程をあらかじめスケジュールに入れておきます。

先に予定を確保しないと、オペや診療の予定が優先されてしまいます。


面談前には、準備してほしいことや大まかなテーマだけを伝えておきます。

当日は時間を守ります。


診療が長引いたからと延期や遅刻を繰り返していると、

「自分との面談は大切ではない」

と伝わってしまいます。


最初の数分はスモールトークで緊張をほぐします。

仕事の話ではない方がよいでしょう。

その後、

今回の面談の目的を共有
→ 質問
→ 傾聴
→ 気づきを深掘り
→ 次の行動を決める

という流れで進めます。


目的を達成できたのであれば、30分すべて使う必要はありません。

早く終わっても構いません。


ただし、時間が余ったからといって別のテーマに移らないようにします。

最後に、次回までの宿題や取り組むことを確認して終了です。


歯科医院の1on1でよくある失敗5つ


1on1を実施しても、進め方を間違えるとスタッフの成長につながらないことがあります。

特に注意したいのが、次の5つです。

1.数回でやめてしまう

1on1は、1回や2回実施しただけで成果が出るものではありません。

数回で終わるのであれば、最初からやらない方がよいくらいです。

スタッフとの信頼関係をつくり、本人の考えや価値観を理解し、少しずつ気づきを促していくためには継続が必要です。

「忙しくなったから今月はやめよう」

を繰り返していると、いつの間にか自然消滅してしまいます。

だからこそ、先にスケジュールを確保しておくことが大切です。

2.院長先生ばかり話してしまう

1on1になると、

「せっかく時間を取ったから、伝えておきたいことを全部話そう」

としてしまう院長先生もいます。


しかし、それでは普段の指導と変わりません。

話す、聞くの割合は、

院長2:スタッフ8

を目安にします。

限られた時間だからこそ、このバランスが重要です。

スタッフに考えてもらい、話してもらう時間を意識的につくってください。

3.答えを誘導してしまう

質問をしていても、

「こういうことだよね?」
「つまり○○が必要だと思わない?」

と、院長先生が期待する答えへ誘導してしまうことがあります。

しかし、期待する答えを言わせても、本当の気づきにはつながりません。

「はい」「いいえ」で終わる質問だけではなく、相手が考えて答えるオープンな質問を使います。

相手の答えを待つことも、1on1では大切です。

4.否定する、馬鹿にする、怒る

スタッフが話した内容に対して、

「そんな考え方ではダメ」
「普通はそう考えないよ」
「何でそんなことも分からないの?」

と返してしまえば、そのスタッフは次から本音を話さなくなります。

1on1では、

否定しない。
馬鹿にしない。
怒らない。

この3つを徹底してください。

話せる環境があってこそ、成長につながる対話が生まれます。

5.1on1で聞いた話を他のスタッフに話してしまう

本音で話した内容は、基本的に秘密にします。

知られたくないことを話したのに、後日、他のスタッフが知っていたら嫌ですよね。

「ここで話したことが他の人に伝わる」

と思われた瞬間から、本音は出てこなくなります。


1on1で本音を話してもらうためには、信頼関係が必要です。

そして、これら以前に大前提として、院長先生自身が倫理観や正しい姿勢を見せ続けることも重要です。

スタッフは言葉以上に行動を見ています。

先生が言っていることと、普段行っていることが違えば、どれだけ1on1で良いことを話しても届きません。


1on1を実施してもスタッフが変わらないとき


1on1を始めれば、すぐにスタッフが変わるわけではありません。

面談した翌日から行動が大きく変わる人もいれば、時間がかかる人もいます。


大切なのは、一度の面談ですべてを変えようとしないことです。


1回の面談で、一つの気づき。

次の面談までに、一つの行動。

そして、また次の気づき。

これを繰り返します。


2週間に1回であれば、年間で約24回です。

毎回一つずつでも気づきを積み重ねれば、1年後には大きな差になります。


もちろん、すべてのスタッフが同じように成長するわけではありません。

やる人もいれば、やらない人もいます。


しかし、院長先生側が教育する機会や、本人が気づく機会を用意せずに、

「成長しない」

と判断するのは早いのではないでしょうか。


歯科医院で1on1を継続する意味


歯科医院で働くスタッフは、毎日の診療の中で多くのことを経験しています。

しかし、

経験していることと、経験から学んでいることは同じではありません。


自分の行動を振り返る。

なぜ上手くいったのかを考える。

なぜ上手くいかなかったのかを考える。

自分の強みに気づく。

自分の課題に気づく。

次に何を変えるか考える。


1on1には、この振り返りの時間を意図的につくる役割があります。

診療中に、

「さっきの患者さんへの対応、良かったよ」

と一言伝えるだけでも意味はあります。

しかし、

「何が良かったと思う?」
「患者さんはどこで安心したと思う?」
「次に同じような患者さんが来たらどうする?」

まで考える時間をつくれば、経験を次の行動につなげやすくなります。

スタッフの成長を偶然に任せず、意図的につくる。

そのために1on1を活用します。


まとめ|歯科医院の1on1で大切なのは、理解しようとする姿勢と継続


1on1で大切なのは、特別なスキルではありません。

スタッフを理解しようとする姿勢と、継続することです。

話す。

聞く。

質問する。

考えてもらう。

気づいてもらう。

次の行動を一つ決める。

そして、また2週間後に話す。

この繰り返しです。


継続することでスタッフは成長し、あらゆる副次的な効果を出しながら、医院も少しずつ変わっていきます。

院長先生にとって、30分は貴重な時間です。

それでもスタッフの採用、教育、定着に悩み続ける時間や、退職したスタッフを再び採用して一から教育する時間を考えれば、スタッフと定期的に向き合う意味は小さくありません。

まずは、できるところから始めてみてください。

院長先生次第で、スタッフの目の色、顔色は変わります。

一緒に頑張っていきましょう。


歯科医院の1on1を実践したい院長先生へ


ここまで読んで、

「考え方は分かったけれど、実際にはどのような流れで面談を進めればよいのだろう」

「1on1のときに、何を意識すればよいのだろう」

「忙しい診療の中でも継続できる形にしたい」

と感じた院長先生もいらっしゃるかもしれません。


1on1は、考え方を知るだけではなく、実際の面談でどのように進めるかをイメージできることが大切です。

そこで、歯科医院で1on1を実践する際に活用していただけるよう、

「スタッフの目と表情が変わる 1on1のやり方」

をまとめた無料資料をご用意しています。

この資料では、本記事でお伝えした7つのポイントに加えて、

  • 1on1を行う際の具体的な進め方
  • 面談前に準備しておきたいこと
  • スタッフへの関わり方や質問の考え方
  • 1on1で注意したいポイント
  • 継続するための面談サイクル

などを、実際の面談をイメージしやすい形でまとめています。

「何となく面談をしているだけになっている」

「気づけば院長先生ばかり話してしまっている」

「スタッフとの1on1を、成長につながる時間に変えたい」

という院長先生は、ぜひ日々のスタッフ面談にお役立てください。

道下 雅和

執筆者

道下 雅和

FELICIA Works株式会社 代表取締役

営業18年、マーケティング15年、経営戦略10年。 営業職としてトップセールスの実績を積んだ後、複数社で営業統括、マーケティング統括、執行役員、取締役を歴任。 これまでに、累計500院以上のクリニックを含む1,000社以上の企業支援に携わる。 経営戦略、マーケティング、営業、組織づくりまで幅広い領域を支援し、表面的な施策ではなく、経営課題を本質から捉えた戦略設計を強みとする。 短期的な成果の創出だけでなく、持続的に利益を生み出す仕組みづくりを得意としている。