これまで、本当に多くの医師・歯科医師の先生方とお会いしてきました。
長くこの仕事をしていると、繁盛している先生ほど、
「この業界、ロクな人間がいないよ」
といった話をされることもしばしばあります。
確かに、これまでお会いしてきた中には、
「これはさすがに……」と
思うような方がいたのも事実です。
でも、それは医療業界に限った話ではありません。
どの業界にも、いろいろな経営者がいます。
ただ、医療業界には少し特殊なところがあります。
多くの先生は、最初から経営者になりたくて医療の道を選んだわけではありません。
患者さんを治したい。
困っている人を助けたい。
もっと良い医療を提供したい。
そう思って医療の道に進み、技術や知識を身につけ、その延長線上で開業する。
そして開業した瞬間から、医療人であると同時に「経営者」になります。
しかし、経営について体系的に学ぶ機会は、ほとんどありません。
さらに、医療業界は良くも悪くも「先生」という立場が強い業界です。
免許を取得した翌日から、周囲には「先生」と呼ばれます。
出入りする業者も、先生に商品やサービスを購入してもらう立場です。
そのため、必要以上に下手に接する人も少なくありません。
さまざまなことを周囲が率先してやってくれる環境でもあります。
そんな環境に何年、何十年といれば、
人によっては少しずつ感覚がずれてしまうことがあっても、不思議ではありません。
私自身、もし同じ環境にいたら、
絶対に勘違いしないと言い切れる自信はありません。
だから私は、先生個人の問題というよりも、
業界の構造による部分も大きいのではないかと思っています。
それでも、先生方とじっくり話をしていると、いつも感じることがあります。
(感覚的には、ひとりの先生と累計10時間以上話していることも珍しくありません。)
そこまで話していると、
根っこの部分には、
「患者さんを何とかしてあげたい」
という気持ちを持っている先生が、本当に多いことが伝わってきます。
一見、昔の気持ちを忘れてしまったように見える先生からも、それを感じることがあります。
開業後は、毎日の診療に加えて、採用、スタッフ、人間関係、売上、資金繰りなど、あらゆる問題に追われます。
そうしているうちに、
医療の道を志した頃に持っていた気持ちについて、改めて考える時間がなくなってしまうのだと思います。
だから私は、できるだけ先生の本音が聞けるように、
いろいろな角度から質問をするようにしています。